井波彫刻の修行は、正式に、井波彫刻組合を通して紹介を受けることが殆どで、その紹介をもとに、何人かの親方を訪問させていただき、最終的には、本人や、その支援者の意見で決めることとなります。

 

私の場合は、地元の代表的工房の親方で、井波で修業を積まれた方にご紹介を頂き、初めて井波を知ることとなり、やはり、組合のご紹介を受け、二代南部白雲先生の人物に感服した、四国八十八か所十四番常楽寺十四世御住職様に説得され、白雲工房に入門となりました。

 

正式な修行は、27からですが、当初は、鑿による木彫刻の何たるかなど、全くわからない状態で、とにかく先輩や、親方、特に若い三代目の気力溢れる教えを受けながら、得たことを、はがき大くらいのスケッチブックに、事細かくメモや、研究成果なども含めて記載していました。

 

修行期間3年で、このスケッチブック六冊になり、初めて仕上げた神輿の隅龍の記録写真、細かいいろんなコツなど、メモして勉強していたようです。

 

大体最初は、皆こんな感じで自分で研究していて、四年五年目には、かなり体に染み込むものが増えてきて、そのころには、自分の言葉と言うか、感性で仕事を進められるようになります。

 

表現の仕事だから、手仕事だけ出来ればよいわけもないので、いろんな趣味があったり、歴史や人物の研究したり、博物館や美術館に通ったり‥職人の修行者は、皆変わり者の部分と、勤勉な部分を持ち合わせています。

 

私のように、地方の美術高校程度の出身者もいれば、中卒の物凄く素晴らしい人物もおられたり、大卒の研究熱心な方もおられたりします、そうありながら、十年後には、一割頑張っているかいないかかも。

 

それから、井波彫刻職人の世界も、学歴や経歴通りには進まなくて、美術経験のない中卒にもかかわらず、超一流の親方になられた方、井波職人となってから、展覧会でも活躍し、東京芸大講師などをされている方など、誰がどんなものになるのか最後までわからない面白さもあります。

 

     これからも、ただ、職人として、表現者として、修行が続けたいなと思います<m(__)m>